よくある質問(介護福祉事業の労務…【労働時間・休憩】について)

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よくある質問(介護福祉事業の労務…【労働時間・休憩】について)

介護福祉事業所における、労務管理・社会保険手続き・給与計算分野における、よくある質問とその回答を紹介いたします。

こちらのページでは、「労働時間・休憩」に関するよくある質問をご紹介いたします。


Q.ホームヘルパー(訪問介護員)が自宅から直接利用者宅に行く場合の移動時間は労働時間に含まれますか?
また、利用者宅から次の利用者宅に移動する時間は、労働時間に含まれますか?


A. いいえ、自宅から直接利用者宅へ行く場合は労働時間とはなりません。ただし、利用者宅から次の利用者宅までの移動時間は労働時間となります。

労働時間とは、一般的に労働している時間だけではなく、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間とされています。ですので、通勤時間は使用者の指揮命令下に置かれているという状況にはありませんので、自宅から直接利用者宅に行く場合の移動時間は通勤時間とみなされ、労働時間には含まれないということになります。

 では、なぜ利用者宅から次の利用者宅に移動する時間が労働時間として認められるのかというと、利用者宅から次の利用者宅の移動を使用者が命じているのであれば、それは使用者の指揮命令下に置かれている状況となりますので、労働時間に含まれることになります。この場合、移動時間とされている時間が通常の移動した場合にかかるであろう時間程度だとされていて、労働者が移動時間を自由に使えないこと、すなわち移動にしか使えないことが前提となります。

例えば、利用者宅から利用者宅への時間が1時間30分ある場合に移動時間が20分の場合には1時間10分は自由な時間として利用することができますので、この1時間10分は労働時間としては認められないということになります。

 なお、移動時間が労働時間と認められる場合としては、事業所から利用者宅、利用者宅から利用者宅、集合場所から利用者宅、などの相互間を移動する場合の時間とされています。労働時間に含まれるということは、賃金の支払いの対象となります。


Q.介護事業所で着る介護服を、経営側が用意したものを着ることが義務付けてられています。この場合、更衣時間を含む準備時間は労働時間になりますか?


A. はい、労働時間になります。

労働時間とは、一般的に労働している時間だけではなく、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間とされています。ですので、経営側がその介護服を着ることを義務づけているのであれば、その時間は労働時間として認められます。また、準備をする時間や後始末、業務報告書の作成時間、帰る際の着替えも労働時間として認められますので、賃金の支払いの対象となります。


Q.介護職員が不足しているため、従業員が休憩中でも入所者のお世話をしてもらわなければならないことがあり、休憩時間中でも自発的に仕事をしてもらうことがありますが、問題はありますか?


A. はい、問題があります。

休憩時間とは、労働者が労働をしなくても良い時間として保障されている時間で、労働をしていないので休憩時間に賃金を支払うことがありません。しかし、いつでも作業にとりかかれるように待機している場合などは休憩時間とはならず、労働時間とみなされます。休憩時間は労働時間ではありませんので、使用者の指揮命令下に置くことができず、自由に行動させる必要があります(自由だからといって、労働者がなんでも許されるわけではありません)。

 今回の質問では、「自発的に」仕事をしてもらっているとのことでしたが、休憩時間は長時間労働による作業能率低下を防いで疲労を回復するために労働時間の途中に与えることが義務付けられていますので、自発的とはいえ労働をしていることに変わりはありません。休憩時間には、労働から離れて自由に利用させる必要があります。また、本来であれば原則として休憩時間は一斉に与えなければいけませんが、どうしても介護職員が不足していて休憩中に働かざるを得ないような場合があるのであれば、労働者の過半数代表者と使用者が協定を結ぶことで例外が認められることがあります。ですので、休憩時間を一斉に与えないという条件での協定を結び、交代で休憩を取るようにすることで労働者の休憩時間を確保することができますので、今の状況を改善する必要があるでしょう。または、根本的に人員が足りていないのであれば人員を補充する必要があるでしょう。


Q.介護事業所でミーティングを毎日行い、介護に関する研修を定期的に行っていますが、これらの時間に対して賃金の支払いはしていません。賃金の支払いをする必要はあるのでしょうか?


A. はい、今回のケースでは賃金の支払いをする必要があります。

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間とされていますので、ミーティングや研修が強制的に参加させているものであれば、賃金の支払いをしなければなりません。もしも、ミーティングや研修に参加すること自由参加とするものであれば賃金の支払いは行わなくても良いですが、自由参加にしてしまうと、参加しない人が増えた場合に業務がスムーズに行えなかったり、研修に参加している人としていない人でのサービスの差が出てきてしまったりと様々な支障が出てきてしまう恐れがありますので、現実的に自由参加とすることは難しいかもしれません。


Q.終業後に個人的に介護に対してもっと理解を深めたり、勉強のためにと残っている職員がいます。しかし、その時間にも利用者のケアに対応していることが多いため、仕事をしている時間として残業代は支払う必要はあるでしょうか?


A. いいえ、支払う必要はありません。

労働時間は使用者が労働者に指揮命令を行った場合に労働時間として認められるものですので、使用者が指示をしていないのであれば残業代を支払う必要はありません。例えば、使用者が勉強会に出席することを義務づけたり、講習を受けるように指示したのであれば、これは賃金の支払いが発生します。しかし、今回の質問で注意が必要なのは、実際に利用者のケアをしているということです。もしもこのような状態が続くのであれば、職員も最初のうちは気にしていなかったけれど、サービス残業をさせられているという気持ちになってくるかもしれません。後々のトラブルを避けるためにも、残業する場合には上司の許可を受けなければ勝手に残業をすることができないなど、今のうちに制度をきちんと整えておくことが必要でしょう。


Q.ヘルパーが利用者宅に訪問する際、利用者宅に到着する時間がいつも3分遅く、帰る際にもまだ3分あるのに帰ってしまう職員がいると利用者から苦情が来たのですが、微妙に指摘しずらい時間のためどう対処すればよいのかわかりません。


A. この場合、もし職員にきちんと時間通りに訪問しているのかと聞いても「きちんと訪問しているし、帰りも時間通りに切り上げている、利用者の勘違いではないか」、などと言われてしまうと、明らかな証拠があるわけでもないので、使用者と職員で押し問答になってしまうかもしれません。こうなってしまうと、職員のモチベーションも更に下がりサービスの質も落ちてしまうことも考えられます。しかし、職員はきちんと時間通り働く必要がありますので、苦情があった旨を職員に伝えて職員の言い分も聞いた上で、苦情に対する対策を行って利用者に説明しなければなりません。この職員が言うように、“利用者の勘違い”だとしても苦情が来た時に、どちらが正しいか明らかにできないような体制のままでは、今後も同じような苦情が来てしまうことも考えられますし、曖昧な対応になってしまいます。ですので、対応策としては利用者宅に訪問した時と帰る時に、利用者または家族の方に訪問・帰宅した時間を記入、押印してもらうための出勤簿的なものを作成したり、時間を記入するのが大変であれば、時間通りに業務を行えば押印するなどの書類を作成したりすることも良いかもしれません。
利用者や家族の方がひと目で確認でき、時間の記入や押印がされている書類を使用者も確認することで、職員がきちんと業務にあたっているかどうかを確認することができます。また、制度も整備する必要がありますが、今後は個々の職員に業務に対する姿勢やモラルを教育することも考えていく必要があるかもしれません。


Q.サービス向上のための教育や研修を行っていますが、職員には参加を義務としています。この時間は労働時間として賃金を支払わなければいけないでしょうか?賃金を支払わない代わりに、休暇を与えるようにしたいのですが可能ですか?


A. はい、労働時間として賃金を支払う必要があります。

研修や教育の参加を義務的に行っているのであれば、職員は必ず教育や研修に参加しなければなりませんので、強制参加ということになります。強制参加させる場合は労働時間となりますので、賃金を支払う必要があり、賃金の代わりに休暇を与えるということは認められていません。
ただし、もし参加したい人だけ参加するような場面がある場合には、自己の判断で参加するということになりますので、労働時間とされず賃金を支払う必要はありません。この場合には、研修に参加した回数に対して休暇を与えることもできます。


Q.夜勤時間中に利用者が急変してしまい、休憩を取ることができませんでした。休憩を取れなかった時間分を帰る時間を早めることで対応したいのですが、可能でしょうか?


A. 状況により変わりますが、今回は可能だと認められるでしょう。

基本的には、労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩を与えることが法律で決まっています。ですので、休憩時間分を帰る時間で早めるという対応は認められません。しかし、今回のように利用者の急変等の突発的で、やむを得ないことと判断される場合には認められる場合があります。
やむを得ないと判断されるためには、①休憩を取れないということが頻繁に起こらない②介護保険法等に定める職員の配置基準を満たした上で、休憩時間を確保するための労務管理を使用者がきちんと行っていた③日頃から、臨時的・突発的なことが起きた時の対応方法を職員に周知して教育を行うなどの対応を行っていたこと、などがありますので、日常的にきちんと休憩を取れるような環境を整えておくことが必要となります。
このような状況になった場合、多くの施設では休憩が取れなかった分の労働時間分の賃金を支払うということが多いようです。今回の質問では、帰る時間を早めることで対応するということでしたので、この場合には休憩時間分の賃金を支払う必要はありません。


Q.通常1日5時間働いているパートタイマーが、1時間残業して6時間勤務した場合、通常の時給で1時間分を支払えば良いのでしょうか?それとも時間外割増賃金を支払わなければならないでしょうか?


A. はい、通常の時給での支払いをする必要があります。

今回の場合には、残業を含めた時間が6時間の勤務で、6時間は法定労働時間の8時間以内ですので「6時間✕時給(割増なし)」の賃金を支払うだけで良いでしょう。もし、日によって7時間働いているパートタイマーが2時間残業した場合など、法定労働時間の8時間を超えた場合には8時間を超えた分を時間外割増賃金として支払う必要が出てきます。この場合、「8時間(7時間+残業1時間)✕時給(割増なし)」+「1時間(8時間を超えた分)✕2割5分増の時給」を支払う必要があります。


Q.9時~18時(休憩は12時~13時の1時間)を勤務時間としていますが、午前中に半日有給休暇を取得して午後から出勤して勤務した時間が13時~22時(休憩は5時~6時までの1時間)までだった場合、残業代を支払う必要はありますか?また、残業代を支払う必要がある場合には時間外割増賃金を支払う必要がありますか?


A. はい、残業代を支払う必要があります。

半日有給休暇を取得した場合、半日有給休暇分も賃金が発生していると考えますので、この会社の休憩が12時~13時までとすると、午前中の勤務時間は9時~12時の3時間分の賃金が発生していることとなります。実働時間が13時~22時(休憩1時間)ということは法定労働時間内の8時間ですが、半日有給休暇分の3時間を合わせると11時間になりますので、3時間分が時間外労働と認められ、3時間分の残業代を支払う必要があります。なお、通常だと18時以降に残業をした場合には法定労働時間の8時間を超えるので、18時以降の残業代は時間外割増賃金を支払う必要が出てきますが、今回の場合は実働時間が法定労働時間の8時間を超えていないので、時間外割増賃金を支払う必要はありません。


Q.法定休日として週に2回半日の休日を与えた場合、2回の半日を1日分としてカウントすることは可能でしょうか?


A. いいえ、半日を2日で1日分としての休日を与えることはできません。

労働基準法では、少なくても毎週1回、もしくは4週を通して4日の休日を与えなければならないとされていますので、あくまでも1日単位で法定休日を与えなければなりません。
ただし、これは法定休日の場合ですので、法定休日を超える所定休日であれば、半日単位で与えても問題はありません。


Q.時間単位の有給休暇を取得したいという職員がいますが、時間単位の有給休暇を導入する場合には届出が必要ですか?


A. いいえ、届出は必要ありません。

届出は必要ありませんが、労使協定を結ぶ必要があります。また、労使協定を結んでも、時間単位の有給休暇を取得できるのは1年のうちに5日までですので、5日以内の範囲で日数を定めます。この5日は、前年度から繰越した場合にも5日以内は変わりませんので、前年度の時間単位の有給休暇が5日分あまったから次年度は10日分の時間単位の有給休暇とはなりませんので、ご注意下さい。
 また、導入する場合の起算日も労使協定で定めておきます。


Q.事前に時間単位の有給休暇を申請していた職員がいましたが、当日職員の都合で1日休むことになってしまいました。この場合、1日の有給休暇に変更することは問題ないでしょうか?


A. はい。問題ありません。

今回の場合は、労働者の都合によって1日休むことになったという点と、時間単位の有給休暇には1年間に5日までしか取得することができないという限度がありますので、時間単位の有給休暇を消化してしまうより1日の有給休暇として消化したほうが労働者に有利な状況となりますので、1日の有給休暇として扱うことは問題ないでしょう。もし、労働者の都合ではなく、使用者の都合で時間単位の有給休暇を1日単位の有給休暇に変更するように指示をしたり、1日の有給休暇を時間単位の有給休暇にするように指示することは、労働者に不利な状況となりますので認められません。あくまでも労働者の意思で時間単位の有給休暇にするのか1日単位の有給休暇にするのかを判断することになります。


Q.業務報告書を作成している時間は労働時間として賃金を支払わなければなりませんか?


A. はい、義務付けられているのであれば労働時間とみなされますので、賃金を支払う必要があります。

介護保険制度や業務規定などで業務上必ず作成する必要があるとされている場合には労働時間となります。もしも業務報告書を作成するという業務規定がない場合や契約する時にも特に業務報告書について触れていない場合でも、様式が決まっていて提出期日を決めて提出をしなければならない状況にある場合には、作成する時間は労働時間と認められると考えられます。なお、作成が任意の場合には労働時間にはなりません。ただし、業務報告書を任意にしてしまうとほとんどの人が作成しないことが考えられますので、現実的ではないかもしれません。


Q.待機している時間も労働時間として賃金を支払わなければなりませんか?


A. はい、使用者が指揮命令を行って待機をさせていて、なおかつその時間には労働者が自由に使えないとされる場合には、労働時間として認められますので賃金を支払わなければなりません。


Q.パートタイムで働いている職員が研修に行った際、研修場所から自宅へ帰るまでの移動時間が1時間半かかったということでその時間も賃金が支払われるのかと聞かれましたが、移動時間分も残業代として賃金を支払わなければならないのですか?


A. いいえ、支払う必要はありません。

研修に行った場合、労働時間として認められるのは研修を行っていた時間とされますので、たとえ研修場所から自宅までの時間が何時間かかろうが労働時間とはなりません。労働時間とは、使用者が労働者に指揮命令により労働を行っている時間で、なおかつ自由な時間がないときに認められ、今回の移動時間は時間として拘束されてはいるものの労働をしているわけではないので、賃金を支払う必要がないということになります。
パートタイムで働いている労働者からすると、「1時間半も時間がかかって拘束されているのに、賃金が支払われないなんて納得いかない!」ということにもなりかねませんので、そのような事態に陥らないようにするためにも、最初に入った時点で労働時間や研修の移動時の時間に対する決まり事を説明し、使用者と労働者がお互いに明確にしておくことが良いでしょう。


Q.タイムカードで出勤・退社の時間管理を行っていますが、残業しているわけでもないのに残っている場合など、業務終了直後にタイムカードを押さないために残業時間が増えてしまっています。どうしたら良いですか?


A. 多くの会社で使用されるタイムカードですが、タイムカードだけに頼ってしまうと本来であれば支払う必要のない時間に対してまで残業代を支払っていたなんてことになりかねませんので、そういった事態を防ぐためにもタイムカードと人が確認することが必要となるでしょう。
例えば、残業をする場合には上司に残業する旨を伝えて、残業する必要があるのかを上司が確認するという体制を整えたり、業務が終わったのにタイムカードを押さないという行為は不正なことですので、そのような行為を行った場合には処分が課せられることを職員全員に伝えておくことも必要でしょう。
残業が必要な場合だとしても、いつまでもダラダラ残業をしているという状況を続けていると、それが常態化してしまって残業代が増えてしまうということも考えられますので、時間内で終わらせるような体制を整えることも必要かもしれません。


Q.介護施設で職員が7人ですが、法定労働時間の1週40時間を守ることが厳しいです。どうしたらよいですか?


A. 原則、法定労働時間は1週40時間とされていますが、特例措置対象事業場の場合には常時10人未満の時に1週44時間という労働時間が認められていますので、9人までの事業所の場合には認められるということになります。

特例措置対象事業場とは、商業・映画、演劇業・保健衛生業・接客娯楽業に分類され、その中の保健衛生業に社会福祉施設が含まれていますので、この場合には1週44時間とすることができます。ただし、1日の労働時間にいついては8時間までですので、変形労働時間制(※)と合わせて利用することで働き方の幅が広がるでしょう。

(※)変形労働時間制とは?
 法定労働時間は1日8時間で1週40時間と決められていますが、1日や1週単位ではなく、一定期間の週あたりの平均労働時間で考えます。ですので、今回のように1日8時間で1週44時間までが労働時間とする場合、本来であれば1日8時間を5日間と4時間の日を1日として残りの1日が休みとすれば1週44時間となりますし、週休1日で残りの6日を1日あたり7時間20分の労働時間とすることで1週44時間になりますが、変形労働時間制を利用すると1ヶ月単位で平均して1週44時間以内であれば良いということになります。ですので、1ヶ月の最初が忙しいであれば第1週を50時間として、残りの3週を42時間にすることで平均44時間とすることも可能です。1週50時間とした場合、1日9時間が5日間と1日5時間が1日間で1日が休日とした場合、1日9時間の日に10時間労働した場合には1時間の残業となり、定められている時間を超えた部分に対しては残業代が支払われなければなりません。なお、変形労働時間制を行う場合には、就業規則等で定めておくか、労使協定を結んで労働基準監督署に届け出る必要があります。

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